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日産自動車が「追浜」「湘南」の生産終了を決断 加速する構造改革の一方、経営再建には足りないモノも

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日産にとって「歴史的な拠点」である追浜工場での生産終了を決断したエスピノーサ社長は「リーダーとしてこんなことをやりたいと思う人はいない。ただ残念なことにやらなければならない」と語った(撮影:尾形文繁)

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「苦渋の決断だった。従業員の皆様に深くお詫びを申し上げたい」

日産自動車は7月15日、神奈川県にある追浜工場(横須賀市)での車両生産を2027年度末に終了することおよび、上場子会社・日産車体の湘南工場(平塚市)への生産委託を2026年度に打ち切ることを発表した。

この日の午後、追浜工場を訪れたイヴァン・エスピノーサ社長は従業員に対して生産終了の決断を伝え、冒頭のように謝罪した。その後の記者会見では「追浜工場で働く従業員にとっては極めて大きな痛みを伴う改革だ。しかし、日産が現在の厳しい状況から脱し、再び成長軌道に戻るためにはやらなければならない」と理解を求めた。

歴史あるマザー工場の生産終了をついに決断

1961年に操業を開始した追浜は「ブルーバード」「マーチ」などの主力車種や世界初の量産型EV(電気自動車)「リーフ」を生産した日産のマザー工場と位置づけられている。ただ近年、国内販売や輸出が低迷し、追浜工場の稼動率は4割台に下落(2024年度)。設備も古く、これまでもリストラの検討がなされたが、決断できずにいた。

現在生産する「ノート」「オーラ」は段階的に日産自動車九州の九州工場(福岡県苅田町)へ生産を移管する。生産部門に従事する約2400人はほかの工場や事業への異動などの選択を迫られる。

追浜工場の跡地の活用は未定だが、今後、複数の相手と工場や設備の売却交渉を進めていく。一部報道で台湾の鴻海精密工業との協業も取り沙汰されていたが、「合弁や委託生産は検討していない」(エスピノーサ社長)と否定した。

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