
(写真:Eva Marie Uzcategui/Bloomberg)
トランプ米大統領が高関税政策などで世界に混乱をまき散らしている。彼の主張はご存じのとおり「米国の製造業復活」だ。
筆者はこのフレーズを聞くと、いつもある書籍を思い出す。ITジャーナリストのロバート・X・クリンジリー氏が1992年に出版した『コンピュータ帝国の興亡』(邦訳は93年に出版)だ。
同著は、当時急拡大中のパソコン産業の裏側を描いたものだが、同時にその後の米国の経済発展の道筋を明確に予測していた。
右端0.15%への賭け
最も印象に残るのは、正規分布のグラフ(釣り鐘型曲線)の話だ。釣り鐘型曲線の右端0.15%に位置する人は、短期記憶力でも数学的能力でも常人とは桁違いに優れた能力を持つ。米国のITイノベーションの担い手はこの人たちであり、釣り鐘型曲線の中央(ノーマル)の部分は関係ないと同氏は喝破した。曰(いわ)く「新しいソフトウェア開発のコツは頭のキレる人間をたくさん雇うのではなく、非常に頭のキレる人を数人雇うことだ」。
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