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世界経済の「牽引役」アメリカの役割は変わるか 巨額の経常赤字が世界のGDP拡大を支えてきた

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「世界の警察官」をやめる米国。エコシステム再編のあり方が問われる。

米国旗と国会議事堂
(写真:rabbit75_pix / PIXTA)

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世界の視線が集まるアメリカ大統領選挙の投開票まで1カ月を切った。本特集「米国動乱」では大統領選から景気後退、AIブームまで、動乱期を迎えたアメリカの今を、現地取材を交えてリポートする。

次期大統領がトランプかハリスかにかかわらず、米国が内向きの姿勢を強めるのは間違いない。はたして世界経済の牽引役をやめてしまうのだろうか。

「需要提供」が牽引力

戦後の世界経済の拡大を支えてきたのは間違いなく米国だ。終戦直後はマーシャルプランによって欧州へ大規模な資金提供を実施し、欧州はその資金を元手に当時「世界の工場」だった米国から財の輸入を行って復興を果たした。

日本や欧州が戦後復興を終えると、今度は「需要の提供国」として米国は世界経済の成長を支える。具体的には日本や欧州からの輸入の拡大だ。それによってとくに日本と西ドイツが驚異的な経済発展を遂げたのは周知のとおりだ。

ただ、貿易赤字によって米国は金の流出危機を招いたため、1971年に当時のニクソン政権は金とドルの兌換を停止した。いわゆるニクソンショックである。これにより金兌換を裏付けとした基軸通貨ドルとの固定為替相場制(ブレトンウッズ体制)は崩壊し、当時、ドル危機が盛んに叫ばれた。

しかし、それは杞憂(きゆう)だった。ブレトンウッズ体制崩壊後の西側諸国は金ではなくドルを外貨準備として保有するようになったため、米国はドル紙幣を刷って貿易赤字拡大を続けることができた。

90年代後半以降は、米国向け輸出を通じた経済発展の主役が中国や東南アジアなどへ移行。中国の経済力が米国と肩を並べるようになるや、米国の対中姿勢は強硬になっていった。

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