バイデン肝煎りのIRAは、製薬企業に大きな影響をもたらしている。
国民皆保険制度がある日本では、国が薬価を引き下げようとする規制が多い。その結果、国内製薬市場は停滞傾向にある。
一方で米国は自由競争で薬価が形成され、同じ薬でも日本より高い価格がつく。製薬企業にとっては利益の源泉となる重要な市場だ。
しかし今、その前提に変化が生じ始めている。生活者の負担軽減を目的にバイデンが成立させたインフレ抑制法(IRA)の下、薬価引き下げが進んでいるからだ。
例えば米国の高齢者向け公的保険「メディケア」。そのうち外来処方薬向けの「パートD」では、これまで患者負担が5%と定率だった。ところがIRAによる見直しで上限額が設けられた。2025年1月から自己負担の上限額は年間2000ドルとなり、超過分の一部が製薬企業の負担となる。
国内製薬2位のアステラス製薬はこの影響を受ける企業の1つだ。主力品の前立腺がん薬「イクスタンジ」は25年3月期の売上高予想が7570億円。メディケアの見直しにより、25年1〜3月分で5000万〜7000万ドル(約70億〜100億円)減ることを会社は織り込んでいる。
複数企業が国を提訴
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