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米金融政策「緩やかな利下げ」もくろむFRBの難路 アメリカの金融政策と景気は今後どうなるのか

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FRBは景気悪化を回避できると見込む。利下げペースをめぐる思惑が市場を揺らす。

会見するFRBのパウエル議長
市場は大幅利下げを期待するが、パウエル議長は急がない姿勢(写真:Getty Images)

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世界の視線が集まるアメリカ大統領選挙の投開票まで1カ月を切った。本特集「米国動乱」では大統領選から景気後退、AIブームまで、動乱期を迎えたアメリカの今を、現地取材を交えてリポートする。

※9月25日に配信したインタビューを記事形式に再構成しました。

「The time has come(利下げの時が来た)」──。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は8月23日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたシンポジウムでそう述べた。世界のマネーの流れを左右する米国の金融政策が転換点を迎えた。

根強いインフレに対し、FRBが政策金利であるFF金利誘導目標を5.25〜5.5%という高水準で据え置くこと14カ月。9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)が決めた利下げ幅は0.5%と大幅なものだった。

利下げ幅についてCMEフェドウォッチツールが示す市場関係者の見通しは通常の0.25%と2倍の0.5%の間で割れていた。8月2日に公表された7月分の雇用統計で失業率が景気後退を示唆する水準まで上昇したため、景気後退懸念が高まり世界的な株安が起きた。大幅利下げが必要との観測が台頭し、臨時会合を開いての利下げさえ取り沙汰された。

大幅利下げは景気後退を意味しない

パウエル議長はFOMC後の記者会見で「景気後退に対して後れを取ったのでは」との質問に対し、「新規失業保険申請件数も解雇件数も増加していない」と否定。雇用創出は減少しているものの、いまだ労働市場は堅調であり、大幅利下げを決めたのは「後れを取らないようにするためのコミットメント」だと述べた。

金利を据え置いた7月末のFOMCの時点でもし7月分の雇用統計を入手していたら、利下げしていたかもしれないとも認めた。

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