米国の景気後退は本格化していないのに利下げ期待が大きいのは資産シフトが影響か。
金利先物市場が織り込むFRBの利下げ期待が大きい状態が続いている。本稿執筆時点(9月6日)で1年後の利下げ織り込みは244ベーシスポイント程度となっている。つまり、25ベーシスポイントの利下げほぼ10回分だ。データがさかのぼれる過去20年強の期間で、1年後の利下げ織り込みがここまで大きくなったことはない。
一方、実際の利下げが1年間で200ベーシスポイント以上となったことは、1990年以降の利下げ局面で4回もある。いずれもアメリカの景気後退を伴ったときの利下げ局面だ。こうした景気後退・大幅利下げ局面では、その状況を引き起こしたイベント・事件があった。さかのぼっていくと2020年のコロナ禍、2007〜2009年のGFC(リーマンショック)、2001年のドットコムバブルの崩壊、そして1990〜1991年の貯蓄貸付機関(S&L)の破綻と不動産バブルの崩壊だ。いずれも米経済が景気後退となり、FRBは1年間で200ベーシスポイント以上という急速なペースで利下げを行っている。
つまり、現状のマーケットはアメリカ経済がこれから景気後退に陥ることを織り込んでいるともいえる。確かに米経済指標を見ると雇用市場は2022〜2023年の強さからは軟化してきているし、物価上昇率も2022年と比べると鈍化してきている。しかし、4〜6月期のアメリカ実質GDP成長率は前期比年率3.0%増と強い成長で、7〜9月期に入っても消費のデータなどは引き続き堅調だ。成長率も1.5%程度の巡航速度の成長が予想されている。
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