連邦と州一体でEVシフトを進めてきた米国だが、先行きは混沌としている。
世界の視線が集まるアメリカ大統領選挙の投開票まで1カ月を切った。本特集「米国動乱」では大統領選から景気後退、AIブームまで、動乱期を迎えたアメリカの今を、現地取材を交えてリポートする。
「大統領選挙で規制がどう変わるのかまったくわからない。投資も様子を見なければならない」。大手自動車メーカー幹部はため息をつく。
環境対策を重視するバイデン政権はEV(電気自動車)の普及を図る政策を次々と打ち出してきた。
EV1台の購入に対して最大7500ドル(約108万円)の税額を控除する購入支援策を盛り込んだインフレ抑制法(IRA)が2022年に成立。米環境保護局(EPA)が24年3月にまとめた連邦温暖化ガス(GHG)規制の最終案では当初案を緩和したものの、32年時点で35〜56%のEV販売比率のシナリオを設定した。
日本勢も投資を活発化
この動きに合わせる形で日本勢もEV関連投資を活発化させている。トヨタ自動車はグループの豊田通商とノースカロライナ州に電池工場を建設中で、ケンタッキー州ではEV生産のライン創設へ合計150億ドルを投じる。
ホンダは主力のオハイオ州工場に7億ドルを投入し、カナダのオンタリオ工場で合計150億カナダドル(約1.5兆円)をかけて次世代EV専用工場を立ち上げる。
トピックボードAD
有料会員限定記事