カナダ最大の都市トロントを抱えるオンタリオ州。そこに、1986年から稼働するホンダの自動車工場がある。
ここに、ホンダが次世代EV(電気自動車)や電池・材料の専用工場を新設すると決めたとき、カナダ政府は沸き立った。提携企業の出資分を合わせた投資額は計150億カナダドル(約1.6兆円)に上り、ホンダにとって過去最大規模の投資だったからだ。
2024年4月に行った新工場の発表会には、トルドー首相(当時)も駆けつけ「ホンダはカナダの自動車史に新たな歴史を刻む」と激励の言葉を送った。
しかし、それから1年4カ月、当時の華やいだムードはすっかり息を潜めている。
カナダEV工場の意義
稼働すれば最大年24万台のEV生産能力が加わり、米国などへの供給基地となる見込みだった。だが、新工場の建設を延期、稼働予定は28年から30年以降になった。
現時点で延期が2年程度で済むかも不透明だ。三部敏宏社長は「EVは当初より5年程度普及が後ろ倒しになりそうだ」と語る。



















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