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事業環境の変化に苦しむ【ホンダ】/ゴールドマン・サックス証券・湯澤アナリストが分析する「復活の条件」

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湯澤康太(ゆざわ・こうた)/早稲田大学政治経済学部卒業、2001年ゴールドマン・サックス証券入社。2006年に自動車セクターのカバレッジを開始。投資調査部門マネージング・ディレクター、日本およびアジア・パシフィック地域の自動車チームを率いる(撮影:尾形文繁)

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2040年に世界で売る新車をすべてEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)にする「脱エンジン」を掲げていたホンダ。しかし、ここ数年で市場環境は激変。当初もくろんでいた、EVを通じた‟第2の創業”にも黄色信号が灯る。本特集では、もがく業界の異端児の全体像を追う。

ホンダが輝きを取り戻すのに何が必要か――。ゴールドマン・サックス証券の湯澤康太アナリストに聞いた。

戦略を調整するのは当然

――現在のホンダ、三部(敏宏社長)体制をどのように評価されていますか。5月末にはEV戦略の修正を発表しました。

環境変化があまりにも大きかった、という一言に尽きる。アメリカの関税問題や環境規制の見直しなど、誰も読めなかった。そうした中でEVシフトを強めていたホンダはハイブリッド車(HV)に再注力しているが、戦略を調整するのは当然だ。

「EVに全振りしている」と言われたが、そもそもそんなことはない。粛々とHVを開発しており、ある程度バランスは取れていた。2030年以降をにらめばEVを全力でやるという判断は間違いではない。

――トランプ大統領はEV自体が嫌いです。イーロン・マスク氏と喧嘩別れし、EVへの攻撃はやみそうにありません。カリフォルニア州などが導入していたEV普及を義務付ける環境規制も骨抜きになりました。

アメリカではIRA(インフレ抑制法)の1台あたり7500ドルのEVへの購入補助金がなくなる。アメリカでのEV販売見通しはもう一段下げないといけないだろう。

ただ、タイミングは遅れるが、グローバルでのEV普及が止まることはないだろう。特に最大市場である中国でのEVの勢いは続く。中国でのEVの供給能力が過剰なので、そこからグローバルに輸出されていく。

(中国勢にEVで)勝てる技術、勝てるコストを作らなければならない。現在のEV減速は、そのための猶予期間をもらったと捉えるべきだろう。ホンダはEV投資枠を当初の10兆円から7兆円に引き下げた。7兆円のうちすでに3.5兆円は使った。残りの3.5兆円をどのような時間軸で、どのような分野に配分していくか、調整していく段階だ。

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