米国と中国ではEV戦略に暗雲漂う中、電力インフラ事業にも触手。
日本勢で唯一、脱エンジン目標を掲げるホンダ。2040年までに新車販売をすべてEVとFCV(燃料電池車)にする計画だが、正念場を迎えている。
提携する米ゼネラル・モーターズ(GM)とは共同開発中だった量販価格帯の中小型EVについて商品化を断念した。
両社の工場を活用して数百万台規模の生産体制を構築し、スケールメリットを出す狙いだったが、「商品性と価格のバランスを取ることが難しくなったため」(ホンダ)だという。
ホンダにとってこのプロジェクトは、30年までにEVを世界で30車種投入し、EV販売を年間200万台にまで引き上げる計画の一翼を担う予定だった。
専用プラットフォーム(車台)として他地域への展開も視野に入れていただけに、中止の影響は北米事業だけにとどまらないとみられる。
ブランド力はもはやなくなっている
さらに中国では、広州汽車集団との合弁会社・広汽ホンダの工場で働く派遣社員を約900人削減することを決定した。全体の7%に当たり、対象者には金銭補償も行う。同社の生産台数は23年10月時点で前年比2割近く減少しており、ホンダは「生産調整を行っているため」と説明する。
中国ではBYDなど現地勢を軸にEVの市場拡大が続く。
ホンダもEVを複数車種投入しているが、競合他社に押され販売は思うように伸びていない。ホンダの苦戦ぶりについて、あるホンダ系部品メーカーの首脳は「ホンダだから買うというようなブランド力はもはやなくなっている」と言い切る。
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