BYDはエンジン車市場も侵食。中国は輸出台数も世界一へ。
アフターコロナの中国では、不動産市場の調整などを背景に内需回復が鈍いものの、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)など新エネルギー車(NEV)販売は好調が続く。
コロナ禍前の2019年に102万台だったNEV販売は23年には750万台を超えると予測される。乗用車販売全体に占めるNEVの割合も23年11月に単月で初めて4割を超え、「NEVシフト」は新段階に突入しつつある。
一方、現在の中国新車市場は熾烈な価格競争にさらされている。発端は、22年末のNEV向け補助金政策の終了を受け米テスラが23年1月に行った値下げだ。これに各社が追随し、BYDや上海蔚来汽車(NIO)などEVメーカーだけでなく、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)も相次ぎ値下げに踏み切った。電動車で起きた価格競争がエンジン車にも飛び火した格好だ。
日系の中国合弁各社は苦戦
日系の中国合弁各社は販売促進キャンペーンを展開したものの、競合車種の値下げや中国勢のNEVの攻勢を受け、苦戦を強いられている。
中国でも人気のハイブリッド車(HV)を豊富にラインナップする一汽トヨタ(トヨタと第一汽車との合弁)を除くと、日系合弁各社の中国販売台数は23年にいずれも前年割れとなった公算が大きい。中国乗用車市場に占める日本車シェアは、20年に23.1%と直近10年間で最も高い水準に到達した後、急落しており、23年には15%を割る見込みだ。
日本車は、低燃費や信頼性などの優位性から中間所得層以上の買い替えニーズを満たしてきた。中でもセダンは、ブランドのコストパフォーマンスや機能を重視する消費者層から支持を獲得。SUV(スポーツ用多目的車)も、長距離走行で重視する乗り心地のよさやデザインなどが評価され、若年層の取り込みに成功した。
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