値上げや円安が寄与。
EVシフトの流れが変わり始めた。保護主義の高まりにより資源調達や製造の面で難題が噴出。販売停滞を見据え、欧米勢は投資計画の縮小に動く。
『週刊東洋経済』1月6-13日 年始合併特大号の第1特集は「EVシフト 絶頂と絶望」。アメリカのテスラと中国のBYDがグローバル市場を席巻する中、日本勢はどう動くか。熾烈なEV競争の最前線に迫った。
「供給不足だったこともあり、値引きの必要もなく造れば売れる状況」(トヨタ自動車幹部)。「プラスの要因がいくつも重なっており、少しできすぎなくらいだ」(三菱自動車幹部)
絶好調の業績を受け、日本車各社の幹部からは明るい声が聞かれる。ここ数年苦しんできた半導体不足がほぼ解消。新車の安定生産が可能になり、これまで積み上がる一方だった受注残の縮小が進む。
各社はコロナ禍で進めてきた「ものづくり」の効率化に加えて、国内外の幅広い商品の値上げにより採算が大幅に向上した。急激な円安も大きく貢献。2024年3月期上期決算は、上場する乗用車メーカー7社すべてが大幅な営業増益、うち5社が過去最高の営業利益を達成した。
力強さを示したトヨタ
中でも力強さを示したのがトヨタだ。
『もっといいクルマづくり』ができてきたことの成果だ」。宮崎洋一副社長がそう振り返った今上期決算では、営業収益が前年同期比24%増の21兆9816億円、営業利益は同124%増の2兆5592億円だった。いずれも中間期では日本の製造業で過去最高を記録。自動車業界では営業利益率が8%で高収益とされる中、トヨタは11%に達する。
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