トヨタ、利益4.5兆円の上り調子とアキレス腱 HV急伸で絶好調、EVで戦える体制をつくれるか

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「ジャパンモビリティショー」のプレスブリーフィングで佐藤恒治社長が「クルマ屋らしいバッテリーEVをつくる」と強調した(撮影:鈴木紳平)

今が絶頂か、さらなる高みを目指せるのか。

トヨタ自動車の2024年3月期中間決算(4~9月期)は、営業収益が前年同期比24%増の21兆9816億円、営業利益は同124%増の2兆5592億円だった。いずれも中間期として過去最高だ。

「現場力がフルに発揮されているのが今期の数字だ」。宮崎洋一CFO(最高財務責任者)は決算についてそう総括した。

販売台数はすべての地域で増加

労務費増や資材高騰など減益要因が5000億円以上あったにもかかわらず好業績をたたき出した要因は、トヨタが「営業面の努力」とする取り組みだ。北米や欧州を中心とした新車価格の改定によって採算が大幅に向上したうえ、トヨタ・レクサスブランドの販売台数は9%増の517万台と全地域で増加した。

ハイブリッド車(HV)の販売台数が「クラウン」や「アルファード」といった高額車種で伸び、過去最高水準の169万台に達したことも貢献した。1997年の初代「プリウス」では1台売るごとに赤字を垂れ流したが、長年の設計改善と量産効果でHVはガソリン車と遜色ない利益を生み出すようになった。今中間期ではパワートレイン別営業利益の3割を稼いでいる。

昨年まで苦しんでいた不安定な新車生産も半導体不足の緩和によって徐々に改善。コロナ禍以降に磨いてきた工場での合理化効果が、台数増によって発揮される好循環が生まれている。円安による2600億円の増益効果もあった。

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