トヨタ、利益4.5兆円の上り調子とアキレス腱 HV急伸で絶好調、EVで戦える体制をつくれるか

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EVシフトに苦しむ各社、揺り戻しの可能性

EVシフトに苦しんでいるのはトヨタだけではない。フォルクスワーゲンはEV2車種について独工場での生産を2週間停止すると発表。ゼネラル・モーターズ(GM)はミシガン州でのピックアップトラックEVの生産を1年延期することを決定した。

時代の寵児とされるテスラですら、値下げによって利益率が低下している。EV市場の過当競争と伸び悩みが大きな要因で、ここにきて世界的にEV疲れのような雰囲気が出てきた。

現状、希少金属を多く使う電池のコストが重いEVは採算確保が難しい。フォードは2023年のEV関連事業の損失が6000億円以上になると予想する。トヨタの好業績はEVが売れていないからともいえる。

もっとも、多少の揺り戻しはあっても、自動車市場の一定以上の割合をEVが占める未来図は変わりそうにない。トヨタは2030年に350万台のEV販売目標を掲げており、ライバルが踊り場にさしかかっている今は追い上げるチャンスだ。

「ジャパンモビリティショー」では多数のコンセプトEVを展示。プレスブリーフィングで佐藤恒治社長が「クルマ屋らしいバッテリーEVを造る」と強調した。ただ、EVが増えてきたときに現在の利益水準を保てるかはわからない。

トヨタはHVの台数増や生産改善などで得た利益をEVなど次世代領域に投じる好循環を描く。車体部品の一体成型技術「ギガキャスト」をはじめとした生産改革、全固体電池や車載OS(基本ソフト)「アリーン」の開発などコストと商品の両面で競争力を高める取り組みにも余念がない。

円安の追い風が吹くうちにEVでも戦える体制をつくることができるのか。

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横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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