
TDKは多種多様なテーマでの研究開発を、マーケティング部門と連携しながら進めている。稼ぎ頭の2次電池をいつか超えるような事業柱を創出するためだ。ここでは中長期的な視点で、その可能性を秘めた3製品をピックアップ。「期待の新人」たちの実力や将来性を探った。
フルカラーレーザーモジュール|レーザーを網膜に投影
その眼鏡を装着すると、通常の視界に重なって、カラフルな文字やロボットの映像が目の前に浮かぶ。長さ10センチメートルほどの細長い部品がテンプル(耳に掛ける部分)に沿って固定され、中にはTDKが開発した世界最小級のフルカラーレーザーモジュール(FCLM)が搭載されている。
小指の爪ほどのサイズのFCLMから出たレーザー光が眼鏡のレンズに反射して、目の網膜に直接映像を投影する。この方法では、現実の視界が奪われず、ピントを合わせる必要もないため、視力を損なわないメリットがある。
現実の光景とデジタル映像を同時に視認できるこのようなデバイスは、「AR(拡張現実)グラス」と呼ばれる。視覚情報を映像や音声で補うAR技術は、将来はスマホを代替するとの見方もあるが、現状では普及に至っていない。ウェアラブル端末に載せられるほどの小型化が難しく、サイズや操作性、価格に問題があるためだ。