
氷見村田製作所で製造されたセラミック発振子の検査風景(写真:編集部撮影)
半導体や家電など日本の電機産業は凋落の歴史をたどったが、電子部品は高い競争力を保ち、日本勢が世界生産額の3割超を占める。その強さの源にあるのが独自の経営戦略だ。村田製作所、TDK、ミネベアミツミ――。本特集では彼らの流儀のエッセンスをお届けする。
積層セラミックコンデンサー(MLCC)が注目されるが、村田製作所の世界シェア首位製品はほかにも多数ある。共通するのは、材料や設備から加工プロセスまで、一貫して秘伝のノウハウを築き上げている点だ。
JR新高岡駅からタクシーで北へ30分ほど走ると、田畑や雑木林に囲まれて赤い「muRata」のロゴが現れる。この子会社、氷見村田製作所(富山県氷見市)は、世界シェア約95%とほぼ独占状態のセラミック発振子を製造する。
商品名は「セラロック」。電子回路を正常に機能させるため、定期的に信号を出す「タイミング装置」の一種だ。これを合図に各部品は動く。オーケストラで例えれば、指揮者となる。MLCCの台頭以前は稼ぎ頭だったという。
熟練工による手作業
現在も車載向けを中心に月産1億個ほどの規模がある。ただ、タイミング装置はより精度の高い水晶製へと置き換わりつつあり、大規模な設備投資は難しい。現場には熟練工による手作業も残る。
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