
1973年に設立された村田製作所の米国生産子会社(写真:村田製作所)
半導体や家電など日本の電機産業は凋落の歴史をたどったが、電子部品は高い競争力を保ち、日本勢が世界生産額の3割超を占める。その強さの源にあるのが独自の経営戦略だ。村田製作所、TDK、ミネベアミツミ――。本特集では彼らの流儀のエッセンスをお届けする。
日本の電子部品メーカーの世界市場に占めるシェアは30%台を維持しています(JEITA〈電子情報技術産業協会〉)。
とくに強いのは受動電子部品と呼ばれるカテゴリーで、積層セラミックコンデンサー(MLCC)では村田製作所、フィルムコンデンサーではTDK、タンタルコンデンサーではKAVX(京セラ傘下)など、歴史ある電子部品メーカーが世界を牽引しています。
その特長は、産業としての分厚さが保たれていることでしょう。村田製作所やTDKといった巨大なグローバルサプライヤーが目立つ一方、中堅・中小規模の企業も存続しています。では、日本の電子部品の強さの背景に何があるのか。歴史を振り返ってみましょう。
ラジオ向け部品が成長の足がかりに
電子部品産業は戦前からありますが、本格的な勃興期は終戦後のこと。GHQ/SCAPが日本の民主化を目的に、ラジオ受信機の普及に力を入れたのがきっかけです。
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