村田製作所が内製化するのは、部品材料や製造設備にとどまらない。物流設備の一部まで自前で手がける。

村田製作所の物流拠点「東京ロジスティクスセンター」(千葉県流山市)。ごく小さな積層セラミックコンデンサーは、リールに巻かれた状態で出荷される(記者撮影)
半導体や家電など日本の電機産業は凋落の歴史をたどったが、電子部品は高い競争力を保ち、日本勢が世界生産額の3割超を占める。その強さの源にあるのが独自の経営戦略だ。村田製作所、TDK、ミネベアミツミ――。本特集では彼らの流儀のエッセンスをお届けする。
積層セラミックコンデンサー(MLCC)で世界シェア約4割を握り、「電子部品の王者」と称される村田製作所。材料から一貫して自社生産する「超垂直統合」のモデルを武器に、先端技術で独走を続けている(詳細はこちら)。
同社が「王者」たるゆえんは、製造面のみにとどまらない。毎日約85トン(アフリカ象17頭分)もの部品を輸出する供給責任を果たすべく、2022年12月に物流拠点「東京ロジスティクスセンター(東京ロジ)」(千葉県流山市)を開設した。
MLCCは電子回路を持つあらゆる最終製品に不可欠。これがなければ、スマートフォンも自動車も各種家電も造れない。経済安全保障上の重要度も高く、先端品は政府から「特定重要物資」に指定されているほどだ。
つまり、性能の高さはもとより、メーカー側には安定した出荷体制が求められる。村田製作所は総生産量のうち約65%を日本で製造。そのすべてが東京ロジを含む2拠点に集約され、国内外の顧客へと出荷される。その現場に迫った。
「設備内製化」で投資抑制
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