
中島規巨(なかじま・のりお)/村田製作所社長、JEITA(電子情報技術産業協会)電子部品部会長。1961年生まれ、大阪府出身。同志社大学卒業後、1985年に村田製作所入社。モジュール事業本部の本部長、専務執行役員などを歴任し、2020年6月から社長(撮影:ヒラオカスタジオ)
半導体や家電など日本の電機産業は凋落の歴史をたどったが、電子部品は高い競争力を保ち、日本勢が世界生産額の3割超を占める。その強さの源にあるのが独自の経営戦略だ。村田製作所、TDK、ミネベアミツミ――。本特集では彼らの流儀のエッセンスをお届けする。
世界で勝ち続ける日本の電子部品メーカー。その「王者」とされるのが、MLCC(積層セラミックコンデンサー)最大手の村田製作所だ。JEITA(電子情報技術産業協会)の電子部品部会長も務める中島規巨社長に、業界がもたらす未来を聞いた。
イノベーションを中から支えてきた
──日本の電子部品メーカーは、社会にどう貢献してきましたか。
新しいものは、小さくなると一気に普及する。古くはラジオに始まり、白黒やカラーのテレビ。そして携帯電話、スマートフォン。電子部品はこうした機器類のイノベーションを中から支えてきた。
今も生き残る電子部品メーカーは、核となる「こだわりの技術」を持つ。当社であれば、セラミックの材料や加工。それを用いたコンデンサーや、ロームの抵抗器、TDKのインダクター……。各社の武器を組み合わせ、最終製品は小型・高機能化を果たせた。
エレキ産業の大きな波は、おおむね15年周期で来る。最近だと2000年ごろのITバブルで、液晶やパソコンが広がった。2015年にはLTE通信が登場し、何でもインターネットにつながるようになった。変化が起こるたびに、われわれの市場は大きくなる。
──2030年に来る次の「波」は。
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