
イメージ画像だが、薄っすらボディがSUVであることがわかる(筆者撮影)
われわれに、EV専用工場は必要ない――。
そう断言する、マツダ。
トランプ関税、EV踊り場、中国地場メーカーによるEV価格破壊……、自らを「スモールプレイヤー」と称するマツダは、激動の自動車産業界をこれからどうやって生き抜くのか。
次世代に向けたマザー工場で最新の製造技術をじっくり見ながら、マツダ幹部らとマツダの未来について語り合った。
4400人が働くマツダの主力「防府工場」
東京羽田空港から空路でおよそ1時間20分、着陸したのは山口宇部空港。そこから約35km、瀬戸内の風景を見ながら40分間ほどクルマで行くと、マツダ防府工場が見えてくる。
防府(ほうふ)という地名は、全国的にはあまり馴染みがないだろう。
南北で見ると山口県のほぼ真ん中に位置し、人口は11万3054人(防府市発表:2025年5月末時点)。
市内の沿岸部に位置するマツダ防府工場の従業員数は約4400人と多く、防府市における一大産業拠点だといえる。

マツダ本社と本社工場がある広島市の中心部からは、約125km。筆者は過去に何度か広島と防府をクルマで移動しているが、所要時間は2時間強とマツダ関係者にとって日帰り業務が可能な距離だ。
防府工場には、乗用車の組み立てを行う西浦(にしのうら)地区と、変速機工場の中関(なかのせき)地区がある。
西浦地区には、1982年9月稼働開始の第1工場(H1)と、1992年2月に稼働開始の第2工場(H2)のふたつがあり、H1とH2でプレス工程を共有し、その後に車体(溶接)工程からH1塗装工程とH2塗装工程を経て、それぞれの組み立てラインへ、という製造プロセスを敷く。
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