トヨタが中国で投入した新型EV「鉑智3X(bZ3X)」の販売台数が、2025年9月単月で9017台を記録し、外資合弁EVの中で初の首位となった。
今年3月に発売したこの小型EVは一定の成功を収めており、「エンジン車ブランドのヒットEV」として注目を集めている。
中国市場で日系エンジン車の苦戦が続く中、トヨタは地場競合が多いEV市場に勝機を見据えて、本格的に現地化戦略に舵を切った。
特に、ソフトウェアによってクルマの価値を高めるSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の分野では、現地で開発体制を整え、技術面で世界をリードする中国のサプライチェーンを活用し、着実に商品力の向上させている。
今後、日系EVが中国市場での足場を固めれば、日系メーカーのグローバル戦略は新たなフェーズに入るだろう。
BYD車に匹敵するコストパフォーマンス
広汽トヨタが生産する鉑智3Xは、広州汽車のEV専用プラットフォーム「AEP 3.0」をベースとするコンパクトSUV(全長約4.6m×幅約1.8m×全高約1.6m、航続距離430~630㎞)だが、市内や郊外の走行には十分なスペックであり、車内空間も広々としている。
価格は10.98万~15.98万元(約236万~344万円)で、BYDの主力モデル「元PLUS(日本名:ATTO3)」と競合するコストパフォーマンスの高さも魅力だ。
高いコスパで勝負できた要因は、広州汽車のサプライチェーンを活用し、電池を含む部品調達や製造にかかるコストを大幅に削減したことだ。
洗練されたスポーティなデザインとハイテク感は、中国の若年層をターゲットとしている。
ハイテク感については、運転支援システムに北京初速度科技(モメンタ)の「モメンタ5.0」と、車載電子大手の徳賽西威(DesaySV)製コントローラーを採用。ミリ波レーダー3基、超音波センサー12個、車載カメラ11台を搭載し、RoboSense製LiDARも標準装備している。
エヌビディア製SoC(System on a Chip)や、iFLYTEKの自動音声アシスタント機能を採用するスマートコクピットに加え、中国で高まる知能化ニーズを取り込もうとする本気度を示す形だ。


















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