bZ3Xがヒットも課題は…「トヨタのEV」はBYDを始めとする中国の競合EVメーカーに勝てるのか?

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そこでテスラは、モデルYのロングバージョンである3列6座席の「モデルYL」を投入。DeepSeekとバイトダンスのAI機能を新たに導入し、車両の技術・価格・快適性で中国勢と直接対決する姿勢を示した。

日系メーカーはこれからどう戦うべきか?

2025年1~9月の日系自動車メーカーの販売台数は、ホンダが前年同期比20.5%減、日産が同8.0%減となった。

中国で生産能力の削減や経営規模の縮小に踏み切った両社は、有力車種を投入できておらず、反転攻勢をかけるのが難しい状態にある。

マツダは日本車同士の競争にさらされており、ラインナップも少ないため、16.9%減となった。

マツダのEVセダン「EZ-6」(筆者撮影)

トヨタは、多様なニーズに応えるラインナップの豊富さを生かし、4.9%増。中高級エンジン車で顧客基盤を維持する一方、電動化・知能化の需要にも取り組んでいるため、販売台数に占める電動車(HEVを含む)の割合は、2023年の36.1%から、2024年には48.4%、そして2025年1~9月には52.9%にまで達した。

現地化戦略が織り込まれた日系EVは、機能の削減やサプライヤーの選定など、さまざまな工夫を通じてコスパと性能のバランスを図ってきている。

とはいえ、鉑智3XやN7が一過性ではなく長期的な人気を維持するためには、ソフトウェアと知能化の向上、開発スピードのアップといった継続的な取り組みを行い、サプライチェーンの構築を図る必要があるだろう。

ただし、日系サプライヤーの幹部は、「日系EVは部品点数全体の約6~7割を地場サプライヤーから調達しているため、日系の系列サプライヤーがEV事業に参入する余地は限られている」と話す。

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これからの日系メーカーが中国市場で戦うために求められるのは、世界戦略車ではなく中国市場に特化した電動車だ。知能化を含め、スピーディに市場からのフィードバックを製品に反映させる戦略が必要となる。

そのためには、サプライヤーとうまく協働できる基盤を構築する必要があるだろう。

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湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『2040 中国自動車が世界を席巻する日-BYD、CATLの脅威』(日本経済新聞出版、2025年)、『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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