一方、中国ではAIやアジャイル開発によって技術革新のスピードが速いため、車両や技術が陳腐化しやすい。そこでトヨタは、開発を本社主導から中国現地に任せる施策をとった。
中国のエンジニアに開発の権限を与える「チーフエンジニア(RCE)制度」を導入し、市場変化に迅速に対応できる開発体制を構築している。
また、東風日産が今年5月に投入したEVセダン「N7」は、独自の「天演アーキテクチャー」を採用し、中高級車のコスパとハイテク装備による実用性・乗車体験で、販売台数の増加を果たした。価格は11.99万~14.99万元(約258万~323万円)だ。
ただし、完全な独自開発ではなく、東風汽車のEVブランド「eπ(イーパイ)」との共通点から、日産が中国パートナーの技術を吸収・改善するだろう点は否定できない。
独自でEV開発にこだわるイメージの強いホンダは、2025年にモメンタと提携し、自動運転補助機能でトヨタと日産に並ぶことを目指す。また、中国パートナーのサプライチェーンを活用し、ホンダブランドEVの現地化にも取り組んでいる。
中型車市場はガソリン車もまだまだ強い
外資系エンジン車のドル箱となる、15万~20万元(約323万~430万円)クラスの中型車市場では、中間所得層以上が主に買い替えを目的に購入するため、長年にわたり日米欧モデルが販売台数の上位を占めていた。
具体的な車種でいえば、トヨタ「カムリ」、ホンダ「アコード」、フォルクスワーゲン「パサート」「マゴタン」「ティグアンL」 、GM「ラクロス」「エンヴィジョン」などだ。
このレンジは中国勢にとって難航不落のマーケットで、2025年1~9月の電動化率は35%にとどまり、乗用車市場全体(52%)を大きく下回る。
一方、中国では「内巻」と呼ばれる過度な価格競争が課題となっており、地場各社はさらなる値下げ競争を仕掛けにくい状況であり、低価格から新価値へと戦略の転換に踏み切った。
中でも価格、デザイン、機能とも洗練されているBYD「SEAL06」「秦L」やシャオミ「SU7」が、外資系の砦に攻めてきている。


















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