新東名/新名神/外環の工事はなぜ遅れるのか?路線を延ばす高速道路の陰にある「トンネル」の工事難

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JR京都線の車中から見る工事中の新名神高速道路(2025年5月・筆者撮影) 

高速道路を中心に、最新の道路事情や交通事情を広く扱うこの連載、「高速道路最前線」の中でも特に華やかなのが、高速道路の新規開通のニュースである。

今年後半も、愛知・岐阜・三重の東海三県を環状に結ぶ東海環状道の「本巣IC~大野神戸IC」間の6.8kmが開通。名神~東海北陸道が短絡され、渋滞名所だった「一宮JCT」を避けて通れるようになった。全通までも、岐阜~三重県境の残り18kmあまりとゴールが見えてきたといえる。

また、11月22日には、東北中央道(横堀道路)「下院内IC~雄勝こまちIC」間が、わずか3.7kmではあるが開通。さらに12月14日には、西九州道・松浦佐々道路の「松浦IC~平戸IC」間の7.5kmが開通予定だ。これにより、世界遺産の登録地もある観光の島、平戸島へのアクセスが向上する。

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新東名、新名神、外環という“大物”の遅れ

地元にとっても高速道路ファンにとってもこうした「朗報」は喜ばしい反面、新規開通に関して気にかかることもある。

今年2月、「“大物”に遅れ?2024年度内に開通する高速道路」で、「多くの人が開通を待ち望んでいる“大物”の未開通区間は、今年度も見通しが立っていない状況である」と書いた。この状況は、年末が近づいたいまも変わっていないどころか、むしろ状況が悪くなっている面もある。

ここでいう“大物”とは、日本の大動脈である首都圏と関西を結ぶ新東名と新名神、そして東京23区の西縁に沿ってほぼ南北に結ぶ東京外郭環状道路、いわゆる外環(関越~東名間)である。

上の写真と同じ工事地点の2024年11月の状況。半年間でこの区間は工事が進んでいることがわかる(2024年11月・筆者撮影)

どちらも当初の予定ではすでに開通していてもおかしくない道路だが、長く足踏みが続いている。その主な理由は「トンネル」の工事難だ。

ここでいうトンネルには、山岳トンネルだけでなく、住宅地の地下を掘り進める大深度地下トンネルも含む。

まず、新東名の未開通区間である「新秦野IC~新御殿場IC」の間には、主に地質の問題で掘削を阻む「高松トンネル」の存在がある。

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