BMWの新型「iX3」に乗った。継続は力なり、という言葉がぴったりと感じられるクルマだ。
静かで、加速がよくて、排ガスを出さない。EVにはEVなりのメリットがあるのは、ご存じのとおり。
販売が低迷とか、普及には予想以上の時間がかかる、とかいう意見に対して、フォルクスワーゲン本社で乗用車部門を担当するトマス・シェファーCEOは異を唱えていた。
「時間の問題はあるが、将来は間違いなくEVです」
フォルクスワーゲンは、バッテリー駆動EVの「ID.(アイディー)」シリーズに力を入れている。それだけに、2025年11月に来日したとき、シェファーCEOはそうきっぱりと述べた。
本稿の主人公であるBMWも、EVの歴史は長い。2013年の初代「i3」以来、EVを表す「i」を車名に持ったモデルを数多く送り出している。
トヨタが「GRスープラ」のために購入している4気筒と6気筒など、見事なエンジンを手がける一方、今後クルマづくりの中核にEVを据えようという戦略へのシフトは、加速しているように見える。
その尖兵ともいえるモデルが、2025年9月に発表された新型「iX3」だ。
「新しいクラス」の第1弾
既報のとおり、BMWは「ノイエ・クラッセ」(=新しいクラス)と名付けた新世代EVの展開を発表。第1弾がSAV(SUV)の新型iX3で、このあと、セダンが計画されている。
「これまでで最もBMWらしいクルマ」と、BMWグループのオリバー・ツィプセ会長は談話を発表しているぐらいで、興味が募るではないか。
私は、11月にスペインのほぼ南端、アンダルシア地方のマラガで、「iX3 50 xDrive」に乗るチャンスに恵まれた。
その感動をひと言でいうと「びっくりした」だ。驚いたのは、その出来のよさ。
25年12月に、EUが35年にガソリンで走る新車の販売禁止を撤回、という報道があった。だからといって、BEVがだめというわけではない。BEVにはBEVにしかないよさがある。そう確信させてくれるモデルだ。
マラガは地中海沿いの歴史ある都市で、山岳地帯が大きく広がっている。ドライブコースは、出発地点から高速に乗り、途中から山岳路。そしてサーキット走行も含まれていた。


















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