さらに深刻なのは、外環である。2020年秋に大深度地下で掘削工事を行っていた東京都調布市の地表面で陥没が発生、事故現場周辺の住宅地では住み続けることが困難な住民が続出し、家屋の解体や地盤補修工事が現在も続いており、工事も一部はストップしたままである。
陥没だけでなく、騒音、振動、低周波音などによる住民の健康被害もあって、工事への不信感は収まっていない。もちろん、開通の見通しはまったく立たない状況だ。
ほかにも、トンネル工事だけが原因ではなく、そもそも整備計画自体が長期にわたっているケースもある。山陰道や日本海東北道はその一例で、いずれも全線開通の「朗報」は遠そうだ。
リニア中央新幹線もトンネル地盤が…
同じ大深度地下で工事が続いているリニア中央新幹線でも、東京都品川区で2025年10月28日に工事現場の上にある道路で隆起が発生した。リニア中央新幹線が原因だと特定されたわけではないが、関連が強く疑われており、この区間では工事がストップしている。
品川区長が、「区民の命と生活を守る視点を第一に“強い姿勢”で対応していきたい」と述べているように、開通時期に影響しかねない。
そもそもリニア中央新幹線の「品川~名古屋」間は、2027年度の開業予定だったのが、工事の難航や地表面への影響などから、今では「早くても2034年度以降」に延期となっており、厳しい状況となっている。
あらためて整理すると、高速道路では、新東名、新名神、外環という重要度の高い路線の工事が、トンネルなど地盤の問題でいまだに正確な開通時期のメドが立たない。しかも、建設業界は人手不足が続き、資材や人件費の高騰がさらに工事の遅れや工事費の上振れを招きかねない。



















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