なぜ、マツダは「EV専用工場」を必要としないのか? その理由は「根の生えない設備」にあった

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現在、H1では「マツダ2」「マツダ3」「CX-30」からなるマツダスモール商品群を、H2ではマツダラージ商品群の「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」を生産している。

「CX-70」「CX-90」など国内未導入車種の生産も行われている(筆者撮影)
「CX-70」「CX-90」など国内未導入車種の生産も行われている(筆者撮影)

ラージ商品群を製造しているのは、グローバルで防府工場のH2だけ。ATとMTで合わせて5タイプの変速機を生産する中関地区に隣接した車両出荷ヤード(中関港)から、ラージ商品群が海外に輸出されている。

そう聞くと、「トランプ関税の影響も大きいのでは?」と考える人も少なくないだろう。その点については後述する。

物流からソフトウェアのインストールまで

今回の工場見学ツアーは、H2の組み立て工程で、特徴的な箇所をピックアップしてめぐるものだった。

ガイド役は、常務執行役員で生産技術・グローバル品質・カーボンニュートラル・コスト革新を担当する弘中武都(ひろなかたけと)氏だ。

注目ポイントは4つ。順に紹介する。

ポイント・その1は、「混流生産を支える部品物流」。

マツダ生産方式の真骨頂が、顧客からの注文に応じて多種多様なモデル・グレードを1台ずつメインラインで順番に流す“混流生産”だ。

写真ではわかりづらいが、さまざまな車種やグレードが混流で生産される(筆者撮影)
写真ではわかりづらいが、さまざまな車種やグレードが混流で生産される(筆者撮影)

これを実現するために、サプライヤーと連動した計画順序生産をしている。これは広島本社工場でも同様だ。

具体的には、月間計画、週間計画、デイリー計画を立て、デイリー計画は5日前に確定してマツダからサプライヤー各社に通知する。

それにともない、メインラインとは別のサブラインを敷設。

たとえば、ドア部分を組み立てるときには、サプライヤー側で生産順序に合わせて並べたガラスが小型ラックの状態で納入され、サブラインに流れる仕組みだ。

細かい部品については、部品の納入後、専任の担当者が車両ごとに部品をピックアップして白いボックスにまとめておく。

白いボックスはサブライン上に置かれているため、組み立て作業中の歩行や振り向き動作を最小化できる。

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