広島に拠点を置くマツダは、2022年のグローバル販売台数が111万6107台とトヨタの1割強にすぎない小さな自動車メーカーだ。
国内シェアは約4%。そしてグローバルで約2%と、自動車販売におけるシェアは決して高くなく、正攻法ではなかなか対抗できない。
そこでとった戦略が、とことん気に入ってくれる人に向けて“濃い商品”を送り出し、大メーカーとは違う独自の個性で存在感を高めていこう、というものである。
かつて、ロータリーエンジンを長く量産して一目置かれたように――。
CX-70/80の発売が控えるラージ商品群
そんなマツダの新たな一手が、「ラージ商品群」だ。
ラージ商品群とは、マツダが2022年から市販化した4車種のSUVのこと。エンジンを縦置きで搭載するラージ商品群専用のプラットフォームをはじめ、8速のシングルクラッチ式トランスミッション、そして直列4気筒エンジンを組み合わせるハイブリッドシステムや排気量3.3リッターの6気筒ディーゼルエンジンは、ラージ商品群のために新開発したもの。
日本未導入だが、3.3リッターの6気筒ガソリンターボエンジンも、ラージ商品群向けの新エンジンだ。とにかく“力が入っている”商品群なのである。
同社の公式サイトによると狙いは2つあり、1つは「より上級志向のお客さまのニーズを満足させる」こと。もう1つは「EV移行期における内燃機関車のさらなる環境負荷低減」だという。
後者に関しては少し説明が必要だろう。「ハイブリッドはともかく、3.3リッターと大排気量ディーゼルのどこが環境負荷低減なのか」と思うかもしれないが、それを積むCX-60の実用燃費は驚くほどよく、日常領域で15km/Lを超え、高速道路巡航であれば簡単に20km/Lに到達する。
車両重量1.8トンにもなる大型SUVとして驚異的な燃費性能なのはもちろん、「大型SUV」という枠を外して、一般的なエンジン車として考えても素晴らしい高効率である。
大きな排気量の数字に騙されそうになるが、その中身は「排気量の余裕を出力向上ではなく燃費のために活用した」という環境エンジンなのだ。
そんなラージ商品群を構成する4車種とは、第1弾がすでに日本や欧州などで販売されている「CX-60」。続く第2弾はアメリカで発売された「CX-90」。来年には「CX-70」と「CX-80」が導入され、シリーズが完成する計画となっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら