
ダイハツ工業にとってひさびさの新型車になった、通算7代目となる新型「ムーヴ」は、「もう一度、心が動き出す。MOVE ON.」というキャッチコピー、デビュー30周年のアピールなど、初代を知るベテランドライバーを対象にしているような印象だ。

発表を伝えるニュースリリースでも、あらゆる消費文化を経験してきた「目利き」世代、中でも「メリハリ堅実層」をターゲットに設定したとしている。
それを象徴しているのが、山下達郎氏による書き下ろし楽曲「MOVE ON」と、永井博氏によるイラストを起用し、「あの頃」を思い出させるようなノスタルジックな世界観を表現したテレビCMだろう。
メディア向け試乗会で目にした実車の外観からも、この方向性を感じた。
こだわりを持ってきた歴代のデザイン
エッジを利かせたデザインが、初代ムーヴのデビュー時に20代だった人がクルマに興味を持ち始めたであろう、1970〜1980年代の車種を思い出させたからだ。
ムーヴは、初代がイタリアのデザインスタジオI.DE.A(イデア)、2代目はジョルジェット・ジウジアーロが率いるイタルデザインがかかわるなど、昔から造形についてはこだわりがあった。

1993年に登場し、ハイトワゴンというスタイルを確立した先発のスズキ「ワゴンR」とは異なり、リアゲートを横開きとするなどの独自性も備えていた。
ただ最近は、さらに背の高い「タント」が主力になったことを受けて、スタイリングについては当初の勢いが失われつつあるような感じを受けていたのも事実。先代からはリアゲートも一般的な跳ね上げ式になった。
それが新型ではなぜ、動きを感じさせるフォルムになったのか。試乗会で開発スタッフから聞いたのは、「ムーヴ キャンバス」の存在が大きかったという言葉だった。
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