フェラーリが2019年に久々のFRクーペとなると「ローマ」を登場させてから約4年。その派生版として登場したソフトトップを使ったオープンカーである「ローマ スパイダー」の試乗のためにイタリアはサルディニア島まで赴いた。
従来、V型8気筒エンジンをフロントに積んで後輪を駆動する、大人にはやや狭いが2名分の後席を備えた2+2レイアウトのフェラーリのエントリーレンジには、リトラクタブルハードトップ(RHT)を備えた「ポルトフィーノM」が存在しており、オープンカーのポルトフィーノM、クーペのローマと棲み分けられていた。
それだけに、ローマをベースにしたオープンカーが、しかもソフトトップをまとって登場したことに筆者はちょっとばかり驚かされたのだが、聞けばポルトフィーノMはこれで販売を終了し、今後この市場はローマとローマ スパイダーが担うことになるのだという。
一時期、オープンカーは金属製ルーフが隆盛に
RHT、つまり金属製のルーフを折り畳んで格納するオープンカーの起源は1935年のプジョーの「クーペ・カブリオレ」だが、近年の隆盛のきっかけは1996年のメルセデス・ベンツ「SLK」のデビューである。
バリオルーフと呼ばれるそれは普段はクローズドのクーペボディでありながら、スイッチひとつでカラクリのようにルーフが車体後方に格納されて軽快なオープンカーに変身するのだ。
ソフトトップを使ったオープンカーは、ルーフを閉じていても暑さ、寒さが伝わりやすく、風切り音や雨音など騒音も大きい。防盗性でも不利で、いたずらなどにも遭いやすい。それらのオープンカーが敬遠される理由をあらかた解消したRHTは、このSLKのヒットを皮切りに大ブームとなり幅広いモデルに使われるようになる。
フェラーリもその例に漏れず、2009年にRHTを採用した2+
ところが興味深いことに、そんなRHTの隆盛に近年、明らかに翳りが出てきていた。
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