ベンツ「質から量」への転換を促したW202の残像 「最善か無か」を感じる最後の世代をいま見直す

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今も大事に乗られている姿を目にする初代Cクラスにフォーカスする(写真:Mercedes-Benz)
今も大事に乗られている姿を目にする初代Cクラスにフォーカスする(写真:Mercedes-Benz)

メルセデス・ベンツにとって、市場を大きく拡大するターニングポイントになったのが、初代「Cクラス(コードネームW202)」の登場だ。1993年のことである。

それまでの「190(同W201)」に代わって発売されたコンパクト・メルセデスで、ステーションワゴンも設定して、BMW「3シリーズ」の市場に迫った。

20~30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく。

メルセデス・ベンツ「現代化」への序章

1982年発表の190は、「Sクラス」の品質感を全長4.4mのボディで実現。そのコンセプトは知的でよかったものの非力さが顕著で、モデルライフ後半の2.3リッターや2.6リッターで、ようやく“かったるさ”が払拭されるという具合。室内も狭かった。

190Eは折からのバブル景気に乗ってよく売れ「子ベンツ」とも呼ばれた(写真:Mercedes-Benz)
190Eは折からのバブル景気に乗ってよく売れ「子ベンツ」とも呼ばれた(写真:Mercedes-Benz)

W202も、当時のSクラス(3代目のW140)を小ぶりにしていったような印象で、そこは190と通じるコンセプト。一方、燃料タンクを金属製から合成樹脂製に変更し、形状の自由度がうんと上がったため、搭載位置も工夫が利くようになり、ホイールベースを伸ばすことで室内空間が拡大された。

新設計の4気筒エンジンは、190より効率が上がり、パワーも増加。エンジン技術としては、ヘッドの4バルブ化(ディーゼルも)や新設計のカムシャフト、インジェクション(電子制御燃料噴射)などが導入され、どんどんハイパワー化された。

実質的に、このCクラスから「メルセデス・ベンツ製品の現代化」が始まったといっていいだろう。

【写真】内外装から透視図までW202型Cクラスを見る(26枚)
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