ベンツ「質から量」への転換を促したW202の残像 「最善か無か」を感じる最後の世代をいま見直す

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W202では、側面衝突における乗員保護も重視された。ボディ構造において、ドア内部にサイドインパクトバーなるチューブを入れるとともに、Bピラーには3層構造を採用。さらに、アンダーフロアには横方向のバーを追加して、横からの衝撃をセンタートンネルが受け止める設計が取り入れられた。

画期的だったステーションワゴンの投入

ラインナップは豊富。デビュー当初の日本向けだけでも、2.2リッター4気筒の「C220」、2.5リッター5気筒ディーゼルの「C250D」、2.8リッター直列6気筒「C280」が用意され、特にC280のバリエーションはスポーツラインやAMGまで、カラフルだった。これも初代Cクラスのイメージには、大きなプラスだったといえる。

写真は特別カラーだが、C280はホイール以外にスポーティさを主張する部分がほとんどない(写真:Mercedes-Benz)
写真は特別カラーだが、C280はホイール以外にスポーティさを主張する部分がほとんどない(写真:Mercedes-Benz)

スポーツラインは、190シリーズで導入された、やや硬めのサスペンションシステムを備えたスポーティ仕様。あとから日本に入ってきたAMGモデルはやたら足まわりが硬くて、3.6リッターで280ps(206kW)の「C36 AMG」や、5.4リッターで347ps(255kW)の「C55 AMG」など、私はまったく好きになれず、スポーツラインぐらいが適当だと思った。

ステーションワゴンが導入されたのも、W202からだ。これは画期的なことだった。

当時、BMW3シリーズのワゴンは日本に導入されていなかったこともあり、Cクラスは大いに注目された(写真:Mercedes-Benz)
当時、BMW3シリーズのワゴンは日本に導入されていなかったこともあり、Cクラスは大いに注目された(写真:Mercedes-Benz)

BMWが3シリーズに「ツーリング」なるステーションワゴンを導入したのは1989年なので、1996年からの追加はやや出遅れた感もあるけれど、ファンには大いに歓迎された。BMWがスポーティな特徴をもっていたように、Cクラスのステーションワゴンはエレガンスが感じられたものだ。

6気筒エンジンが直列からV型になり、バリエーションも大きくかわったマイナーチェンジ後には、「C43 AMG」ステーションワゴンも設定されるなど、市場のニーズにうまく対応した。

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