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〈反撃の奇襲〉フジ・メディアが「村上氏を不意打ち」、買収防衛策に隠された狙いを探った

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フジテレビと村上氏
フジ・メディアは買収防衛策を発表した際、今年2月から7月2日にかけて村上世彰氏(中央)や野村絢氏(右)と複数回面談を重ねたことを明らかにした。清水賢治社長(左)はどう対峙していくのか(左写真:梅谷秀司撮影、中央写真:尾形文繁撮影、右写真:Bloomberg)

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フジ・メディア・ホールディングスは7月10日、株式の大規模な買い付け行為に関する対応方針を取締役会で決議し、買収防衛策の導入を公表した。背景には、アクティビストの村上世彰氏が関わる投資会社や村上氏の長女の野村絢氏がフジ・メディア株の保有比率を高めていることがある。

買収防衛策導入の舞台裏や狙い、そして防衛策の効果について追った。

フジ・メディアは6月25日の定時株主総会で、アクティビストであるアメリカの投資ファンド、ダルトン・インベストメンツの株主提案を大差で退け、圧倒的な勝利を収めた。

しかし、ホッとしたのもつかの間、株主総会直後から幹部たちはフィナンシャルアドバイザー(FA)を務める証券会社や、リーガルアドバイザーを務める弁護士らと断続的に協議を重ねていた。というのも、村上氏側が断続的にフジ・メディア株を買い増しており、保有割合は株主総会2日後の6月27日時点で14.35%に達していたからだ。

そんな折の7月2日、フジ・メディアの清水賢治社長は村上氏や絢氏らの要求に応じる形で面談し、驚くべきことを告げられたという。

「すでに多額の資金を集めており、株を買い増して保有割合を33.3%まで引き上げる可能性がある。不動産事業のスピンオフ(分離・独立)も一案だ。スピンオフした子会社(サンケイビル)の経営権取得も考えている」

1週間足らずでまとめた防衛策

事実、村上氏側は4月に入った頃から相次いで既存投資先の株式保有割合を低下させている。インフロニア・ホールディングスが三井住友建設に対して行う予定のTOB(株式公開買い付け)に応募する契約を結び、三井松島ホールディングスが実施する自己株TOBにも応募する見通しだ。

すでに1000億円近くの資金をフジ・メディア株に投じているが、500億円の追加資金を手元にかき集めるだろうと見られている。事情に詳しい関係者は次のように明かす。

「『総務省に確認したら33.3%までは買っていいと言われた』と村上氏らは主張していたが、これは認定放送持ち株会社に関する放送法の規定を説明した総務省の言葉を、自分たちに都合がいいように解釈したもので単なる脅しだろう」

「しかし1500億円程度調達したというのは決して虚言ではない。総会後もどんどん買い増している現状を鑑みれば、村上氏らは本気でわれわれを狙いにきている」

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