
誰も取締役候補者には取り入れない。まさかの「ゼロ回答」だった──。
フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(HD)が5月16日、アクティビスト(物言う株主)からの株主提案に反対の意思を表明した。
元タレントの中居正広氏による性加害問題への対応をめぐっては、ガバナンス不全を問題視したアクティビストのダルトン・インベストメンツ(アメリカ)が、4月16日付けでフジ・メディアHDに株主提案。12人の社外取締役候補の選任議案を6月25日の定時株主総会に諮るよう求めている。
ダルトン提案の12人の中で筆頭候補と言えるのが、SBIHDの北尾吉孝会長兼社長だ。北尾氏も「ダルトンを含めてフジとSBIで企業文化・経営・風土を融和させる」などと語り、就任に意欲を示していた。
一時は受け入れに前向きだった
これを受けてフジ・メディアHDの経営陣は、株主提案を受け入れるかについて、候補者とオンラインによる個別面談を実施するなどして議論を重ねてきた。
事情に詳しい関係者によれば、ダルトン側の提案を受け入れるかのような流れもあったという。というのもフジテレビの社長で、6月の株主総会を経てフジ・メディアHD社長も兼任する予定の清水賢治氏が前向きな意向を示していたからだ。
この関係者によれば、清水氏は問題が発覚した直後から、「株主、中でもダルトンの動向についてはかなり気にしており、水面下で妥協点を見出せないか模索していたようだ」と明かす。株主提案についても「一時は受け入れられないか検討していたようだ」(関係者)。
しかし結果はゼロ回答。5月16日に会見に応じた清水氏は、「今回策定した改革アクションプランを遂行するためには、会社提案のメンバーが適切であるとして、株主提案には反対する」と説明した。