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政治リーダーは天命をもって経綸を語れ。選挙総括で示すべきは、時代認識と国家経営の哲学だ

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漂流する永田町で、石破茂首相は何を語るか (写真:Getty Images)

永田町が漂流している。参議院議員選挙の結果、与党の議席は非改選を含めても過半数を割り込み、石破少数与党政権が存続できるのか否かが最大の関心事項になっている。他方の野党も、立憲民主党や国民民主党、日本維新の会といった主要政党の足並みは揃わない。参政党の台頭も、政界に妙な緊張感をもたらしている。

はっきりしているのは、財政や外交・安全保障のいずれにおいても日本は国家としての明確な道筋が示されていないということだ。マーケットは「日本の政策不確実性プレミアム」を織り込み始めている。

だが、政局の混迷は表層にすぎない。臨界点を迎えているのは少数与党政権ではなく、戦後レジームそのものなのではないか――。これが本稿の出発点である。

80年周期で訪れるレジームチェンジ

近代国家日本は、約80年ごとに国家体制のレジームチェンジを経験してきた。明治維新と共に始まった1868年からの明治レジーム、列強との戦争に敗れた1945年以降の戦後レジームに続き、2025年、新たなレジームチェンジが起きようとしている。トランプ2.0によって、ブレトンウッズ体制と呼ばれた戦後レジームが不可逆的に崩壊しているのだ。日本にとっては「第3の大転換期」が到来している。

1868年と1945年の大転換は、政権交代や制度改正といった表層的なレベルを超える、日本人の価値観や経済構造を根本から変えるほどの変動だった。2025年に起きていることも、国際秩序が巻き込む文明的規模の変動であることは間違いない。

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