
6月25日の定時株主総会はアメリカの投資ファンドの株主提案を退けたフジ・メディア・ホールディングス(HD)。だがそんなフジ・メディアHDに対する包囲網が、今、じわじわと狭まっている。
定時株主総会では、昨年12月に発覚した元タレントによる性加害トラブルをめぐって、株主を二分する戦いが繰り広げられた。
アクティビストであるダルトン・インベストメンツが経営陣への外部人材登用を求め、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12人の取締役選任を求める株主提案を提出。それに対してフジ・メディアHD側も、ファミリーマート元社長の澤田貴司氏ら11人の取締役候補を提案し、2つの取締役選任議案が諮られた。
だが、結果はあっけなかった。フジ・メディアHD側の提案した候補者全員が賛成比率80%を超えた一方で、株主提案の候補者12人はいずれも30%未満。フジ・メディアHDの圧勝で定時株主総会は幕を閉じた。
6月27日時点で保有比率は14.35%に
しかし、これは第一幕にすぎなかった。というのも、アクティビストとして知られる村上世彰氏の関わる投資会社、そして村上氏の長女である野村絢氏がフジ・メディアHD株を取得する動きを止めていないからだ。
絢氏や旧村上ファンド系の投資会社など(以下、旧村上系)が提出した大量保有報告を詳しく調べてみると、保有状況は目まぐるしく変わっている。
年度末で権利落ち日に当たる3月27日時点で、旧村上系の保有比率は5%程度(株式数ベース、以下同)だった。しかし、年度末を過ぎてからも引き続き株を買い増しており、6月27日時点で保有比率は14.35%に達した。
市場関係者は「臨時株主総会の招集請求を目指している」とその狙いを読む。「臨時株主総会を開催して、自らの意をくんだ社外取締役を送り込もうとしている。そのため、議決権の過半を取りにいこうとしているわけだ」(市場関係者)。