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東大は「値上げ」 国立大学の授業料はどうあるべきか。筑波大学長・永田恭介氏インタビュー

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永田恭介(ながた・きょうすけ) 1953年生まれ。1981年東京大学薬学系研究科博士課程修了。東京工業大学助教授などを経て、2001年筑波大学基礎医学系教授、2013年から筑波大学長、2019年~2025年6月まで国立大学協会会長を努める(撮影:尾形文繁)
18歳人口が急減する日本。オンラインなど多様な学びが広がる中、日本の大学は今後どう変わっていくのか? そして、そんな中で勝ち組となる「本当に強い大学」はどこか?
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「もう限界です」。

国立大学協会は2024年6月に発表した声明で、国立大学の財政悪化の現状を強く訴えた。東京大学はじめ授業料の値上げに踏み切る動きもある。国立大学にとって最適な公財政支援、そして授業料のあり方とは。筑波大学長で、同協会の永田恭介会長に聞いた(インタビューは5月28日に実施、肩書は当時のもの)。

財政悪化の問題点

──国立大学の財政状況が悪化しているとのことですが、具体的に何が問題なのでしょうか。

大きく2つある。1つは、国立大学の基盤的経費である運営費交付金が十数年前の1兆2000億円から1兆0784億円(24年度)にまで減額されている。加えて人件費、社会保険料などの経費が物価高などの影響で軒並み高騰し、実質的にも目減りしている。給与を確保するために研究教育費を削るなどは言語道断なので、各大学は採用の延期などで何とかやりくりしている状況だ。

もう1つは、病院収益も含む経常収益の4割を占める付属病院の経営悪化だ。24年度は42病院中25病院が収支赤字に陥る見込みだ。働き方改革の一環で24年4月から医師の時間外労働時間に上限が設けられ、人件費増の影響が大きい。

この2つの問題に同時に直面しているのが国立大学の置かれている状況で、昨年に発表した声明でも「もう限界です」とあえて強いメッセージで窮状を訴えた。

──旧七帝大を中心とする都市部の国立大学と、その他の地方国立大学では状況が異なるのでは。

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