<インタビュー>東大・藤井輝夫総長が語った授業料値上げの理由、「教育環境の拡充など課題は待ったなし、このタイミングでやらなければ」

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「財務強化に大きなインパクトはないが、それ以上に学生の学ぶ環境を改善するために授業料値上げを決めた」と語る東京大学・藤井輝夫総長 (撮影:尾形文繁)
2025年度の学部入学者から20%の授業料値上げを決定した東京大学。東京大学の藤井輝夫総長は「教育環境の拡充など課題は待ったなし。このタイミングで授業料値上げに踏み切らないといけないという思いがあった」と語る。
2004年の国立大学法人化以降、国から運営費交付金は減少傾向で、東大は授業料の値上げだけでなく、基金(エンダウメント)の拡充など財源の多様化を進めている。「自律的な経営」への転換をどう進めるのか、藤井総長に聞いた。

授業料引き上げと同時に免除の対象も広げた

――2025年度から学部生の授業料を引き上げます。

東大はこの20年間、授業料の改定ができていなかった。値上げのタイミングがずっと延びてしまっており、このタイミングでやらなければならないという思いがあった。

総長に就任した2021年に中長期の財務を検討する財務経営本部を設置し、授業料の値上げも一つの可能性として考えてきた。ただ、国立大学の授業料の上限は(国が定める授業料標準額の120%にあたる)64万2960円と決められていて、財務の強化に大きなインパクトがあるものではない。それ以上に学生の学ぶ環境を改善するために授業料の値上げを決めた。

授業料の引き上げにより、2028年度末に13.5億円の増収を見込んでいる。増収分は学修支援システムなどの機能強化やティーチングアシスタントの待遇改善など教育環境の改善に充てる。

授業料引き上げと同時に、授業料免除の対象も広げた。全額免除の対象は世帯年収400万円以下から世帯年収600万円以下に拡大するなど学生への経済的支援を強化している。「経済的には貧しくとも、優秀であれば東京大学で学べる」という伝統を引き続き重視する。

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