走る宝石「フェラーリ」が誇るオープンカーの魅力 「ローマ スパイダー」をイタリアで試乗した

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象徴的なのはそのメルセデス・ベンツで、SLKはすでに製造を中止。続いてRHTを採用していた「SL」も一昨年に登場した新型では3世代ぶりにソフトトップへ回帰したのである。

BMWも「Z4」、「4シリーズ カブリオレ」をやはりソフトトップに戻している。そして今回のフェラーリである。一体、何が起きているのか。

答えは簡単。RHT隆盛の裏で、ソフトトップもしっかり進化していたのである。

進化したソフトトップの魅力

ローマ スパイダーのソフトトップは5層構造の採用で高い耐候性を実現。また、中間層に遮音材を挟み込むことで、静粛性もRHTと変わらないレベルを実現したという。

それなら必ずしもRHTにこだわらなくてよくなる。

何しろソフトトップはコンパクトに折り畳めるためオープン時のスタイリングで妥協を強いられることはなく、開閉もローマ スパイダーの場合で13.5秒と速い。しかも時速60kmまでなら走行中でも動作可能だ。

オープン時のスタイリングで妥協を強いられることはない(写真:フェラーリ)

閉じていれば金属とファブリックのコントラストで贅沢な雰囲気を強調できるという面もある。この手のプレミアムカーならほとんど屋内駐車だろうから、セキュリティをさほど気にしなくてよい。見映えを優先できるソフトトップのメリットの方が上回るというわけだ。

ルーフを閉じている時、金属とファブリックのコントラストも見事(写真:フェラーリ)

実際、そのデザインは思わず見惚れてしまう仕上がりである。クローズ状態のコンパクトにまとまり、美しいラインを描くルーフはソフトトップだからこそ描き出せたものだし、オープンにした際の引き締まったリアビューも、やはりハードトップの収納が前提なら実現できなかったに違いない。

室内は、フェラーリが「2+」と呼ぶように、あくまで前席が主役。後席は子供用もしくは緊急用といったサイズで、実際にカリフォルニアからポルトフィーノMのユーザーには、ここにチャイルドシートを付けて子どもを乗せる人が少なくなかったという。機内持ち込みサイズのトロリーを2セット積み込めるラゲッジスペース含めて、日常的に使える実用性を確保している。

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