有料会員限定

正念場の日米関税交渉、自動車メーカーが秘かに国に打診した「独自プラン」を政府サイドがスルーした経緯

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
膠着が続く、トランプ関税交渉、日本の自動車メーカーが解決のために独自プランを提案しているという (写真:ヨシヒロ/PIXTA)

「なめられてたまるか!」「守るべきものは守っていかなければならない」「全身全霊誠心誠意、国益をかけてアメリカと交渉いたしてまいります!」……。7月9日、千葉県のJR船橋駅南口で、参院選の応援演説のためにマイクを握った石破茂首相はこう語気を強めた。この演説のテーマはもちろんアメリカ・トランプ政権との関税交渉だ。

日本は交渉の席に、世界に先駆け「1番のり」で着いたはずだった。しかしその後、諸外国が次々妥結していくのを横目に出口が見えない状況が続いている。7月9日に相互関税を一時停止する期間の終了が迫っていたが、直前にトランプ大統領が日本政府に宛てに書簡を送付、相互関税の税率を25%にすると同時に、8月1日にそれを発動すると通知してきた。

力強い言葉とは対照的に、石破首相の表情には悲壮感のようなものが見て取れた。

自動車関税「米側に譲歩する気はないらしい」

なぜ交渉が暗礁に乗り上げているのか? 関税交渉の最大のネックとなっているのが自動車をめぐる交渉だ。

アメリカは自動車の輸入に対し、相互関税とは別枠で、25%の追加関税を4月から課している。日本からの輸入にはそれまで2.5%の関税がかかっていたが、10倍超の27.5%に引き上げられた。アメリカは自動車の最大の輸出相手国のため、日本にとって影響は甚大だ。

だが、「こちらは自動車関税を動かすことがマストだが、あっち(アメリカ)は自動車については動かすつもりがない」。政権幹部の周囲からはこんな嘆き節が漏れ伝わってくる。

自動車行政に詳しい政府関係者によると、日本側からの譲歩案として、米国車輸入に関する日本国内の制度上のハードルを大幅に引き下げる検討が進められていたが、そうした現場レベルでの譲歩案の検討作業も現在では止まりがちになっているという。「どのみち相手(アメリカ)は自動車関税で譲歩する気がなく、動きようがない状況」(同関係者)だからだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD