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反EVのトランプが広げる“アメ車と中国EVの差”。自動車産業の復活と正反対の結果になりかねない

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(写真:David Paul Morris/Bloomberg)

大統領ドナルド・トランプは、自らの政策によってアメリカの自動車産業が復活すると話している。だが業界専門家の一部からは、共和党の“電気自動車(EV)たたき”は、新興技術の主導権を放棄し、自動車産業の復活とは正反対の結果をもたらしかねないという指摘が上がっている。

中国は、EVとその生産に必要なバッテリーや鉱物資源の分野で、すでに圧倒的な優位性を築いている。国際エネルギー機関(IEA)によると、BYD、上海汽車集団(SAIC)、吉利汽車(Geely)といった企業が、2024年に世界で販売されたEVの70%を生産した。対するアメリカの自動車メーカーの生産台数はわずか5%にとどまっている。

GM、フォードはランキング圏外

テスラは、世界10大EVメーカーにランクインする唯一のアメリカ企業で、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターはマイナーなプレーヤーにすぎない。韓国の調査会社SNEリサーチによると、EVを主流に押し上げ、何年にもわたってトップの座を維持してきたテスラでさえ、BYDとGeelyに追い抜かれた。

中国企業のEV生産が増えれば増えるほど、アメリカの自動車メーカーが追いつくのは難しくなる。大量にEVを販売する中国企業は、新技術の開発コストをより多くの車に分散できるうえ、一段と有利な価格での部品調達が可能となる。自動車業界での成功に不可欠な「規模の経済」をさまざまな形で享受できるようになるということだ。

世界で販売される新車の5台に1台はすでにEVとなっており、その割合は増加傾向にある。アメリカの自動車メーカーが近年、アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカでシェアを落とし続けている理由の1つは、まさにこの点にある。

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