北米マツダ「CX-90」に寄せる日本向けへの期待 「CX-80」発売で完成するラージ商品群の真価

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この4台のすみ分けは、車体パッケージングに関する2つの構成要素で考えると理解しやすい。1つは長さで「2列シート・ショートボディ/3列シート・ロングボディ」、もうひとつは幅で「ナローボディ/北米向けワイドボディ」である。

まとめると以下の通りだ、

CX-60:2列シート×ナローボディ(全幅1890mm)
CX-70:2列シート×ワイドボディ(未発売)
CX-80:3列シート×ナローボディ(未発売)
CX-90:3列シート×ワイドボディ(全幅1994mm)

つまり、日本ですでに販売されているCX-60は、2列シートのナローボディでもっともコンパクトな車体。逆に北米向けとなるCX-90は、3列シートのワイドボディで、ネーミングからも伝わってくるようにシリーズ最大の車体サイズを誇る。

果たしてシリーズのフラッグシップとなるCX-90はどんなクルマなのか。それを確かめるため、筆者はアメリカ・ロサンゼルスへ向かった。

CX-60よりも全長およそ27cm、幅で5cm大きなボディはさすがに迫力がある(筆者撮影)
CX-60よりも全長およそ27cm、幅で約5cm大きなボディはさすがに迫力がある(筆者撮影)

初対面となったCX-90の第1印象は、「さすがのサイズ感」だ。全長5100mm×全幅1994mmという日本の常識を超えたサイズだから当然なのだが、実はトヨタ「グランドハイランダー」やフォード「エクスプローラー」といった現地で人気の3列シートSUVは、どれもほぼ同じ大きさ。

北米では、ファミリーカーとしてこのサイズ(現地では中型)のSUVに根強い需要があるのだ。CX-90もそこを狙ったのだと理解できる。

一方でCX-90は、単にサイズが大きいだけでなく、伸びやかでスタイリッシュなことも印象的だ。スタイルは主観的な評価となるが、CX-60に対してホイールベースと全長が伸びたことでプロポーションがよくなり、優雅な印象を受ける。

全長とホイールベースが延長され、伸びやかなプロポーションに(筆者撮影)
全長とホイールベースが延長され、伸びやかなプロポーションに(筆者撮影)

また全幅が広がったことでフェンダーの張り出しも増し、グラマラスな雰囲気となった。筆者はCX-60を所有しているが、CX-60オーナーとしてもルックスはCX-90のほうがいいように思う。

ダッシュボードが共通のワケ

運転席に座って驚いたのは、(左ハンドルであることを除けば)その感覚が、慣れ親しんでいるCX-60とまったく変わらないことだった。

その最大の理由は、ダッシュボードが共用化されていること。CX-90の前身となる「CX-9」では、日本で販売していた車幅の狭い「CX-8」とは異なる専用のダッシュボードを組み合わせていたのだが、CX-90では共通化されたのである。

ハンドル位置以外に操作系などで大きく異なる部分はなかった(筆者撮影)
ハンドル位置以外に操作系などで大きく異なる部分はなかった(筆者撮影)

気になってCX-90の左右Aピラーの間隔や左右のドアの距離を計測してみたところ、なんとCX-60と同じだった。CX-90とCX-60では、104mmもの全幅の差があるが、室内幅は共通であり、車体側面の張り出しだけで全幅を広げているのだ。

それが意味するのは、ラージ商品群の4モデルを戦略的に開発した新世代は、従来よりもナローボディとワイドボディの共通設計範囲を拡大することによって、全体でのコストダウンを図っているということだろう。

次ページ2列目以降はCX-90独自の広々設計に
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