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参議院選挙後に「日本版トラスショック」は起きるか。2022年のイギリスは通貨安・債券安・株安のトリプル安に

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イギリスのトラス元首相が掲げた大型減税政策は、金融市場の大混乱を招いた(写真: Carlos Jasso/Bloomberg)

大国のリーダーでも抗えないもの、それが金融市場の力である。

大規模な財政出動の財源は将来の税収増で賄える――。選挙前の各党公約でよく出る議論に対して市場が強烈な冷や水を浴びせたのが、イギリスにおける「トラスショック」だ。

トラスショックとは、2022年9月にイギリスのトラス首相(当時)が発表した大型減税政策「ミニ・バジェット(小さな予算)」が引き起こした金融市場の大混乱である。トラス政権は財源を明確に示さないまま、所得税引き下げや法人税増税の撤回など大規模な恒久減税策を打ち出した。市場はこれを財政悪化のリスクと受け止め、ポンドが急落、国債の金利が急騰し(債券安)、株価が下落するという危機的状況が発生した。

この事態の背景には、減税策の財源が不透明だったこと、独立機関による財政検証を省略したこと、そして中央銀行がインフレ抑制のために金融引き締めを進める中、政府が逆方向の財政拡張策を取ったことなどが挙げられる。

その後、イングランド銀行が緊急の国債買い入れを行い、政府が減税策を撤回することでようやく混乱は収束したが、トラス政権はわずか45日で崩壊した。

7月20日は転換点になるか

2025年の参議院選挙の投開票日を7月20日に控える日本も、インフレ率の上昇と日銀による利上げの見通しがある中、各党は公約の中で積極的な財政政策を打ち出しており、「日本版トラスショック」のリスクが意識される環境になっている。

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