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習近平が進めた中央集権化によって中国経済が停滞?地方政府の政策決定の自主性が失われた代償は大きかった

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習近平政権になってから権力の一極集中が進んだ結果、中国経済は活力を失っている。

権威を増し、中央集権化を進めてきた習近平が中国経済の先行きを暗くしているようだ (写真:Gilles Sabrié/The New York Times)

筆者は先日、米ハーバード大学教授で気鋭の経済学者、デイヴィッド・ヤン氏の研究報告を聞く機会があった。ヤン氏らは、改革開放以降の10万件以上の中国の政策文書や報告書を収集し、テキスト分析によってそれらの政策が地方政府と中央政府との間でどのように立案され、実行されたかを詳細に分析した。

習近平政権で転換された政策決定過程

その結果、彼らはある地方で実験された政策が、その後中央政府によって採用されて全国に広がるというプロセスを踏むケースが多いことをデータ面から裏付けた。このような地方での政策実験はCO2排出権取引などすでに実現したものから、不動産税の導入など継続して検討が行われているものまで多岐にわたる。これらの地方レベルでの活発な政策実験は、自らの試みが中央に認められ、昇進につながることを期待する地方政府の幹部によって推進されてきた。

だが、ヤン氏の報告が衝撃的だったのはその先だ。このような地方での実験をベースにした分権的な政策決定のプロセスは、2013年の習近平政権の誕生によって大きく転換する。それ以降、中央政府は地方の政策実験をほとんど評価せず、むしろ中央レベルで決定された政策を忠実に執行することを求めるようになったのだ。

もちろん政策決定が地方主導で行われることには、企業と役人との癒着や、地方ごとで重複した投資が行われることなどの弊害もある。しかし、ヤン氏らは、地方政府が政策決定の自主性を失うことのコストは、その便益をはるかに上回ったと結論づけている。

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