乗り味に関しては、CX-60よりもおっとり。SUVとは思えないほどのコーナリングマシンに仕立てられたCX-60ほどのキビキビ感はないが、コーナーリングの挙動のつながりはよく、峠道も気持ちよく走ることができた。
一方で、ネット界隈を賑やかにしているCX-60の乗り心地問題も、CX-90では幾分改善が見られていた。
路面の凹凸による入力の衝撃はあるものの、その先の車体の上下動の収束がスムーズで、フラットライド感が高いことを実感している。
実はサスペンションの味付けを施した担当者がCX-60とCX-90では異なるのだが、このチューニングはCX-80にも生かされると考えていいだろう。
ただ、CX-90のサスペンション設定は現地で新車装着となるオールシーズンタイヤを前提としたもののため、サマータイヤを履く日本向けがどこまで完成度を高めてくるかは楽しみなところだ。
売れすぎて生産ラインを増設予定
ところで、現在のマツダは利益の多くを北米市場で稼いでいる。フラッグシップとなるCX-90もたくさん売ってマツダを元気づけないとならないが、果たして現地で売れているのだろうか。
これが実によく売れているのだ。北米での販売は、生産が立ち上がったばかりにもかからず、月あたり3000台に迫る勢いとなっている。車両が届くとすぐに売れる状況というから、生産が安定すればさらに増える気配なのだ。
現在はラージ商品群の製造ライン(輸出も含めてすべて防府工場が担う)に余裕がなく、CX-70やCX-80の生産スタートにあたっては、本社・宇品工場にラージモデル用の生産ラインを増設する計画だという。
「マツダが大型モデル用のFRプラットフォームを新たに制作し、そこに6気筒エンジンを搭載する」という商品計画が明らかになったとき、自動車専門誌や自動車評論家などから「そんな時代錯誤で本当に大丈夫なのか」と不安視する声が多く上がった。
しかし、こうしてふたを開けてみれば好調なスタートダッシュを決め、まずは安心といっていい。あとはこの勢いをどれだけキープできるかだが、少なくともラージ商品群の最大の市場である北米では当面この人気が続くだろう。
「こだわりのクルマ作りでとことん気に入ってもらう」というマツダの戦略は、今後の小規模自動車メーカーの生き残る道として堅実な判断なのかもしれない。
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