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「USスチール買収計画」をトランプ大統領が「絶賛」、膨らむ投資額と浮上する黄金株。日本製鉄がこだわる「完全子会社化」はできるのか

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トランプ大統領はペンシルベニア州にあるUSスチールの製鉄所を訪問。日本製鉄による買収計画に関して演説を行った(写真:AP/アフロ)

「すばらしいパートナーを得ることになる」「鉄鋼業の歴史上例がない投資になる」

日本時間で5月31日の早朝、アメリカのトランプ大統領はペンシルベニア州にあるUSスチールの製鉄所で作業着姿の従業員らを前に、日本製鉄がUSスチールに対して今後140億ドル(約2兆円)を投資すると表明。自身のディールの成果をアピールするとともに日本製鉄を持ち上げた。

一方、日本製鉄がUSスチール買収の条件としている「完全子会社化」については、牽制するような発言もあった。「最も重要なのは、USスチールがアメリカにコントロールされ続けることだ」。

トランプ氏に先立って日本製鉄の森高弘・副会長兼副社長がUSスチールのデビッド・ブリットCEOとともに登壇したが、買収スキームの詳細には触れなかった。複数のアメリカメディアの報道によると、トランプ氏は集会後、取材陣に「承認はまだしていない」という趣旨の説明をしたという。

バイデン氏が反対、当初反対のトランプ氏は前向きに

日本製鉄がUSスチールを約2兆円で買収すると発表したのは2023年12月のこと。当初は2024年9月末までの買収完了を予定していた。だが、全米鉄鋼労働組合(USW)がこの買収に猛反対。アメリカ大統領選挙を前に政治問題化したこともあり、買収完了は遅れに遅れている。

2025年年初には当時のバイデン大統領が当該買収を禁止する大統領令を決定。これに対し、日本製鉄はUSスチールとともにバイデン大統領などを訴える異例の展開となっている。

トランプ氏も大統領就任前から買収に否定的な発言を繰り返していたが、ごく最近になって風向きが変わりつつある。

日本の新聞朝刊1面に「買収」「承認」の文字が躍ったのは5月25日の日曜日のこと。この「承認」の主語は、もちろんトランプ大統領である。もっとも、見出しは「承認」と言い切るものから、「承認か」と慎重なニュアンスのものまで、グラデーションが見られた。

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