
大阪市内は、国内でも類を見ない百貨店激戦区だ。
梅田を中心とする「キタ」商圏には、阪急阪神百貨店の阪急うめだ本店やJ. フロント リテイリングの大丸梅田店がある。難波・心斎橋などの繁華街を擁する「ミナミ」には、高島屋大阪店、大丸心斎橋店が軒を連ねる。
2024年度の総額売上高(商品の販売価格総額)をみると、阪急うめだ本店は3653億円で、全国トップである伊勢丹新宿店(東京)の4212億円に次ぐ規模だ。高島屋大阪店も1809億円と全国トップ5内に入る。
ミナミのさらに南、阿倍野・天王寺エリアに店を構えるのが、近鉄百貨店のあべのハルカス近鉄本店だ。
あべのハルカスは、近鉄グループが開発した地上60階建ての超高層複合ビル。その低層部に入る近鉄百貨店本店の総額売上高は1242億円。銀座三越(東京)とほぼ同額となっている。
「キタの阪急うめだ本店とミナミの高島屋大阪店、そして阿倍野のハルカス近鉄本店が大阪における『3大百貨店』だ」。全国の百貨店に出店するアパレル企業の幹部は、大阪圏の百貨店についてそう分析する。
「ハルカスタウン」として魅力向上
キタとミナミの競合2強とどう伍していくのか。近鉄百貨店の梶間隆弘社長に問うと次のような答えが返ってきた。
「キタとミナミに対抗していくため、ハルカス本店単独というより街全体で魅力を上げていく。近鉄グループはハルカス周辺だけでも『Hoop(フープ)』『and(アンド)』という資産を持っている。医療モールも新しくオープンする」
梶間社長の言うHoopとandはファッション・雑貨や食品店などの店舗が入る商業施設。開業はそれぞれ2000年と2008年で、2014年に全面開業したあべのハルカスより前となる。
これまではハルカス本店だけでなく、Hoopやandも広域集客型施設というコンセプトで運営していた。だが、阿倍野・天王寺エリアは来街者だけでなく定住者も多く、観光地やショッピングエリアとしての性格が強い梅田や難波・心斎橋とは異なる地域特性だ。
そこで役割分担を明確にするためのリモデルを現在進めている。
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