
5月28日(水)近鉄百貨店「ハルカス本店リモデル」で二兎を追う
5月29日(木)近鉄グループ「不動産・物流・鉄道」での延伸戦略
5月30日(金)近鉄百貨店社長が明かす「地域店黒字化」の仕掛け
「まさか、そこまでやるとは思わなかった」
ある鉄道関係者は、近鉄グループホールディングス(HD)の打ち出した壮大な計画に驚きの声を漏らした。
現在、大阪・関西万博が開催されている大阪湾岸の夢洲(ゆめしま)。鉄道では地下鉄の大阪メトロ中央線でアクセスできる。
近鉄グループはこの地下鉄に観光特急を乗り入れさせることで、夢洲から奈良や伊勢志摩といった観光地への直通ルートを確立しようとしているのだ。
夢洲では、カジノを含めた統合型リゾート施設(IR)の開業が2030年秋をメドに予定されている。近鉄グループの計画には、「大阪IR」を訪れる観光客を自社の鉄道路線沿線へと誘致する明確な狙いがある。
他社にはなかった発想
グループ内では早くも、夢洲と奈良・伊勢志摩を結ぶ列車を「IR列車」と呼んでいる。近鉄グループHDの若井敬社長は構想について次のように語る。
「大阪IRが開業すれば、国際会議や展示会など多様な目的を持つお客様が訪れる。そうしたお客様のニーズに合致した観光列車を開発し、新たな観光メニューの1つとして提供できる可能性がある」
IR列車の運行ルートは、大阪メトロ中央線と相互直通運転を行っている近鉄けいはんな線から生駒駅を経由し、そこから近鉄奈良駅や賢島駅(三重県志摩市)などへ直通させるものだ。

実現すれば、営業キロ数は最長で200キロメートルを超える長距離路線となる見込みである。関係者たちが一様に驚嘆するのは、観光特急列車を地下鉄に乗り入れさせるという構想が、国内ではあまり例を見ないからだ。
「発想自体がほかの鉄道会社にはなかった」。冒頭の鉄道関係者はそう指摘する。
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