パナソニック黒字でも「1万人リストラ」の深刻、調理家電やエアコンなど不採算事業にメスの一方で“ほぼ無風”部門もあり濃淡くっきり

「これだけの規模の人員適正化に及ばざるを得ないということは、本当に非常に忸怩(じくじ)たる思いだ」
5月9日、決算説明会に登壇したパナソニック ホールディングス(HD)の楠見雄規社長は、グループ全体で約1万人の人員削減を行うと発表した。
パナソニックは国内で約8.1万人、海外で約12.6万人の従業員を抱える(2025年3月末時点)。今後行う経営改革では、2025年度を中心に国内と海外それぞれで約5000人ずつ削減する計画だ。従業員の5%がリストラの対象となる。
業績は堅調なのになぜ?
大きな痛みを伴う改革を発表したパナソニック。だが足元の業績は悪くない。前2024年度の売上高は8.4兆円とほぼ前年並みで、営業利益は4264億円(前期比18%増)だった。
営業利益の内訳を見ると、アメリカのIRA(インフレ抑制法)に基づいて受け取る予定の補助金約900億円が含まれているものの、それを割り引いても3000億円台は堅調と言える。しかし、楠見社長は決算説明会で終始神妙な面持ちを崩すことはなかった。
構造改革を実施する2025年度は、営業利益3700億円と一転減益を見込む。リストラ関連費用1300億円を計上するほか、円高の進行による為替影響でマイナス300億円、インフレなどによる固定費の増加200億円が下押し要因となる。
大きくメスが入るのが、家電や空調などの事業を抱える「くらし事業」のセグメントとなっている。

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