
金融庁が「老後には2000万円の資金が必要」とした資料を作成し、波紋を呼んだのは2019年のことだった。
夫が65歳以上で妻が60歳以上の無職夫婦(妻が40年間専業主婦)の場合、平均月収20万9000円に対し支出が26万4000円になるので、毎月約5万5000円の赤字になる。したがって、夫が95歳になるまでに約2000万円が不足する──というのが「2000万円問題」の骨子だ。この試算はあくまで平均値として出されたものだが、財務相が受領を拒否するに及んで政治問題化し、大騒動になった。
では、老後資金はいくら必要なのか。まずは、75歳以上の高齢期にかかる医療・介護費用を1000万円は準備しておきたい。内訳は、厚生労働省などのデータから65歳以降にかかる医療費の平均が369万円、介護費が約580万円だ。これらの合計が949万円。なので約1000万円というわけだ。生活費とは別に準備しておきたい資金になる。
あとは、年金などの収入と退職後の支出の差を計算してみることが大切だ。
定年後の生き方4タイプ
前述の2000万円はあくまでも19年時点での平均で、収入と支出はまさに世帯によってまちまちだ。60歳の定年時点の保有資産も違えば、定年後の働き方、思い描く生活のありさまも異なる。
そこで、①資産はあるが、定年後も積極的に働きたいタイプ、②資産があるので、旅行などして余暇を充実させたいタイプ、③資産が少ないので、しっかり働きたいタイプ、そして④資産は少ないが、働きたくないので倹約で乗り切りたいタイプの4タイプに分け、それぞれの将来の家計をシミュレーションしてみた。
前提として子育ては卒業、退職金は1500万円、ローンの支払いを終えた自宅は持っているが、駐車場代や固定資産税などで毎年36万円支出するとしている。医療保険は終身で、年3万円の保険料と設定した。
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